移乗することで介護する側も楽になる
介護現場や在宅介護をされているとベッドから車いすに移乗したり反対に車いすからベッドに移乗する事も多いと思います。一言に移乗といってもやり方次第では怪我の原因となります。
【移乗する目的は?】
移乗する目的は様々あります。例えばベッドに寝たきりなままだと拘縮や筋力低下を招いてしまい自分で動けなくなってきます。寝たきりになれば介護者の負担も増えてしまいご本人と介護者がどちらも苦しい思いをする事になりますね。こういった要因を防ぐためにも移乗してADL(日常生活動作)低下を予防する目的もあります。
結果的に活動場所が増えてご本人さんの生活の質が向上するのに繋がっていきます。
【楽に移乗する為のポイント】
一番移乗する場面が多いであろう介護ベッドから車いすへ移るパターンでポイントを説明します。
- ベッドの高さを車いすより高くする
- 人間の体の動きの流れを使う
- 体を密着させる
- 必要に応じて福祉用具を使用する
ザックリとこういったポイントがあります。
まず移乗元(ベッド)を移乗先(車いす)よりも高くする事で重力に逆らわなくなりますから持ち上げなくても落ちる力を利用するようになります。
次に人間の体の動きの流れを使うが最も重要なポイントかと思います。私達が普段何気なく行っている立つ動作ですが細かく分けると様々な準備があります。最初に足を引いて立ちやすい足幅に開いています(肩幅ぐらい)
その後で頭の重心を前にして勢いをつけて立ち上がります。この立ち上がる準備段階をしっかり行っていないと無駄な力が必要になり疲れます。
3つ目のご本人と介護者の体を密着させる事で力がしっかり入ります。ただご本人さんの動作の邪魔にならないように気を付けないといけません。もっと楽に移乗したい場合はスライディングボードといったお尻を滑らせて移乗する福祉用具などもあります。
基本的な移乗のポイントはこういった所ですね。福祉用具を使用しなくても上記の3つのポイントを意識して行えば大抵の方は安全に移乗可能です。この方法はある程度のADLがある方ですので完全な寝たきりになった場合は体の下に敷いて滑らせる福祉用具を使用した方が楽ですね。
介護は出来るだけ無駄な力を無くせばご本人さんと介護者のどちらも楽になる動作が多いですから意識して行っていきたいですね。
移乗するのが目的ではなくてベッド以外の生活場所を確保できれば生活の質や介護負担軽減に繋がり、みんなが幸せになるというのが移乗の本当の目的だと思っています。