拘縮予防や体位変換でポジショニングの必要性
私は特別養護老人ホーム(特養)に勤務していますから原則要介護3以上の利用者さんの支援となります。介護度が高くなると必然的に支援も全介助がメインとなってきます。
特に寝たきりのご利用者さんの移乗や食事介助、排泄介助(オムツ交換)、入浴介助は全て全介助となります。全介助の方の中には拘縮が強い人や皮膚が弱い人も多く介助1つでも気を遣います。
【ポジショニングの必要性】
寝たきりの人は自分で寝返りをすることが出来ないので体位変換やポジショニングを介護職が行います。体位変換はエアマットを使用していれば自動体位変換機能付きの物もあります。体位変換時間として理想とすれば20~30分ぐらいで変えてあげるのがベストですが、職員で体位変換する場合は人手が足りないので1時間半~2時間が現実的かと思います。
体位変換は床ずれ(褥瘡)を予防する上で必須になりますが拘縮(手足の緊張)を予防する事も寝たきりの方には必要になります。拘縮予防にはクッションを利用したポジショニングが有効になります。
体重が掛かっている場所にクッションを入れてあげれば「ここ(クッション)に手足を置いて楽な姿勢をする」という意識が生まれるので拘縮の緊張が緩和されます。在宅でよく間違った使用されてる人がいますが、曲がった膝の下にクッションを入れてもただの空間に置いただけですから意味はないです。
意識として手や足を体の内側に持っていかないように外側に手足が開くようにクッションで導くのが良いです。
手足の可動域が大きくなれば介護者がオムツ交換する場合も股関節が開けば楽になり、着替えの着脱時も皮膚剥離が軽減すると思います。
他にも拘縮を予防するには完全に寝たきりになる前に対策する必要が出てきます。例えば膝が少し伸びにくくなった人は車いすに座りにくくなりますが、座りにくいという理由で車いすを使わずベッド上で生活すれば膝の曲がりはどんどん悪化します。
拘縮を予防するには体を少しでも動かすのが重要です。普通の車いすに座るのが無理であればリクライニング式で対応をしたりして、少しでもベッド上から離れる意識を持って生活すると拘縮予防や悪化を防ぐことができます。上手くいけば拘縮が緩和されて可動域の拡大が見込めるかもしれません。